起業も成長も、魅力ある名古屋で。スタートアップを羽ばたかせる、支援者としての恩返し。

なごのキャンパス 企画運営プロデューサー
株式会社LEO 代表取締役CEO
粟生 万琴氏

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ライフイベントとともにデザインしたキャリア。
起業家から支援者へ。

Q.粟生さんのキャリアについてお聞かせください。

中学生のときにプログラミングに出会って魅了され、英語とプログラミングを学びたいと短期ですが海外留学をしました。そこから自然な流れでエンジニアとして就職をしましたが当時まだソフトウェア開発の現場は「男性の職場」でした。より自分が裁量を持って働くにはどんな場所が良いだろうと考え、ご縁があって大手人材サービス会社へ転職しました。

その人材サービス会社時代に名古屋での支店立ち上げや新規事業を構想するプログラムに関わらせていただき、新規事業の道を進み始めました。出産して育児休業から復帰したのが2009年、リーマンショック後のタイミングだったのですが、その際も元々担当していた東海エリアの責任者の立場に戻るのではなく、新規事業の立ち上げを提案しました。
社会や経済の難局であっても新規事業を提案したのは、「同じことをしていては生き残れない」という想いを持っているからです。それは、中学時代に個性を活かして自主性を育み自分で選択をする、そんな教育を受けたことが影響しているのではないかと今では感じています。

その後も新規事業の支援等に携わっていたのですが、その中でシリコンバレーの視察をした際に「あなた自身は起業をしないのか」と問いかけられたことが次の転機です。確かに社内での新規事業立ち上げには何度も関わらせていただいたのですが、自分自身でもテクノロジーに特化した事業を立ち上げたい想いが湧き出て、ご縁のあった関西のAIエンジニアの方々とAIベンチャー(現 株式会社エクサウィザーズ)を立ち上げました。

Q.新規事業をご自身で立ち上げる立場から、「なごのキャンパス」で支援側に回ったのはどういった想いがあってのことでしょうか。

「なごのキャンパス」立ち上げの際に、以前からご縁のあった東和不動産の方からご連絡をいただいて。「次の100年を育てていく」という、「なごのキャンパス」でやろうとしていることに共感しました。
また、これまで東京、関西、海外と様々な場所で事業を進めてきたのですが、私がインドにいるときに父親が倒れたこともあって、これからの10年は家族のそばで、これまで支えてくれた方々への恩返しをするのもいいなと思えたんです。

名古屋に戻ってきたのは10年ぶりだったのですが、ビジネスで関わるキーマンの方々の顔ぶれが変わっていないことには驚きました。「なごのキャンパス」は起業家を応援している事業者の方とも繋がりを持てる場なのですが、そういったところで過去にお世話になった方々とまたご一緒できるのは嬉しいです。

保守的は過去のこと。
オープンでフラットな名古屋に。

Q.名古屋の人材の魅力はどんなところだと感じていますか?

名古屋の人について「保守的」「閉鎖的」と言われることが多いですが、若手世代はまったくそんなことはないですね。非常にオープンでフラットです。「Tongali(とんがり)プロジェクト」※で出会う学生たちは、就職以外に起業もキャリアの選択肢で持っている方が多いです。クラウドファンディングでフリーペーパーを立ち上げた高校生なんかもいて、10代20代の方々がこれからの名古屋エリアのスタートアップを盛り上げていってくれるだろうと非常に頼もしく思います。

  • 東海地区5大学(東海地区産学連携大学コンソーシアム:名古屋大学、豊橋技術科学大学、名古屋工業大学、岐阜大学、三重大学)と連携大学(名城大学、中京大学、藤田医科大学、名古屋市立大学)による起業家育成プロジェクト

また、最近は大企業で働きながら起業をするイントレプレナー人材※もたくさん出てきています。社外で繋がりを作って新規事業の準備を進めた社員がそれを社内に持ち帰って発表して目に留まったり、大企業が出資したベンチャー企業に自社の若手社員を出向させたりと、大企業にいる優秀な人材が新規事業に関わってモチベーションを持つ良いサイクルが回り始めているなと感じます。「なごのキャンパス」でも、大企業に勤める方が兼業で起業されていたりします。
私自身もAIベンチャーを立ち上げたときは人材サービス会社役員との兼業でした。結果を求める起業とのパラレルワークはとても成長できる働き方だと思うので、実施する方が増えていってほしいです。

  • 企業内で新しいビジネスを立ち上げる際にリーダーとなる人材。起業家を意味するアントレプレナーと区別してイントレプレナーと呼ぶ。新規事業開発においてリーダーとなり、経営者的な能力を示せる人材のこと。

もう一つ名古屋エリアの特徴的なこととして、中小企業が多いんです。既存事業を継承するのではなく、既存事業をピボットさせて新規事業を展開するベンチャー型事業承継の支援「Nagoya Atotsugi Venture Project」も「なごのキャンパス」で実施しています。

「なごのキャンパス」で支援中の主な取組み

  • NAGOYA CONNÉCT
    名古屋市を主催として、ボストン発、世界6ヵ国10都市で活動するVenture Caféが名古屋を中心に運営するイノベーション促進/交流プログラム。
  • Nagoya Atotsugi Venture Project
    世代交代を機に既存経営資源を活用した革新を起こし、永続的な経営や社会に新たな価値を生み出す「ベンチャー型事業承継」を推進するプロジェクト。
  • Startup [N]
    ZIP-FMで放送中の番組。Startup [N]の”N”は、「Nagono」「Nagoya」そして「Nippon」の”N”。なごのキャンパスを起点に名古屋から、日本のアントレプレナー(起業家)たちにエールを送り続けます。

スタートアップといえば名古屋。そんな時代が来る。

Q.スタートアップをめぐる環境で、名古屋の魅力や変化は感じますか?

そもそも名古屋には、東京、大阪といった他の都市への移動だけでなく、これからのビジネス発展を担うアジア圏への移動も飛行機の直行便があるなど、交通の利便性が非常に良い魅力があります。
また、中学生までの医療費が無料になるなど、子育てや医療といった行政サービスも充実しています。20代30代といったライフイベントの重なる時期に働きながら住むまちとしてはとても魅力的ではないでしょうか。
先ほどお話した「Tongali(とんがり)プロジェクト」もそうですけれども、工学業系の大学が多いことや都市の規模感がちょうど良いこともあって、産学官連携がしやすい面もあると感じています。

変化としては、名古屋を含むこのエリアが「Central Japan Startup Ecosystem Consortium」として内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点に選定されたことは大きいです。スタートアップ不毛の地と言われてきた東海エリアが、スタートアップにも優位であると認知してもらえたと思うので、どんどん盛り上げていきたいです。

今後さらに名古屋が魅力的になっていく要素として、スタートアップが長く企業として成長し続けていくためにもベンチャーキャピタルの存在や、税制優遇といったファイナンス面での支援があると良いと考えています。
人口規模もあるので、名古屋エリアで実証実験ができるような環境がさらに整うと、そのままこのエリアで事業が続いていく可能性がますます高まります。
例えばマーケットが大きいなど、他の都市にメリットがあったとしても、名古屋エリアの魅力がもっと増せば、このエリアでの成長を目指すスタートアップが増えるのではないでしょうか。

世界で活躍する起業家が生まれる街と言わせたい。

Q.これからの挑戦や夢について、教えてください。

現時点では男性エンジニアによる起業が多いので、アントレプレナーシップ教育を広げ、女性や外国人の方の起業を増やしていきたいです。それも含めてスタートアップの総数を増やしていきたいと思います。新規事業の成功率は低いので、まずは総数を増やすことが先決です。私自身もまた新規事業を立ち上げたい想いが湧いてきまして、絶賛準備中です(笑)。

東海エリアには有名なグローバル企業がたくさんあります。そんな企業たちも、最初はスタートアップだったんです。
挑戦する風土を支援して、数々の創業者が生まれたこの地域のDNAを100年ぶりに復活させ、「やっぱり名古屋エリアからは世界で活躍する社会的な起業家が出てくるな!」と言わせたいですね。

「NAGOFES 2020」開催のお知らせ

「なごのキャンパス」の開業1周年を記念したイベント、”NAGOFES(ナゴフェス) 2020”を11月13日(金)~11月15日(日)に開催致します!
https://nagofes.jp/