名古屋から、社会を変える。東京一極集中回避から始めるワークスタイル変革。

株式会社コラボスタイル 代表取締役社長
松本 洋介氏

  • 本社移転
  • IT
  • 補助金活用
  • TOP
  • INTERVIEWS
  • 名古屋から、社会を変える。東京一極集中回避から始めるワークスタイル変革。

ワークフローの改善で、本来やるべきことに専念できる。

Q.御社の事業内容をお聞かせください。

「ワークスタイルの未来を切り拓く」を企業理念とし、ワークスタイル変革につながるクラウド型業務改善ワークフローシステム「コラボフロー」の開発・販売をしています。

元バーテンダーの私は、当時から仕事の「前工程」「後工程」を改善できないかと課題意識がありました。その後に、ワークフロー関連の仕事に就き、その経験を活かし起業しました。
仕事の中には稟議や申請といった、やらなければならないけれど時間がかかる煩雑な作業があります。そういった部分の無駄を省いて、一人ひとりが自分のプロフェッショナル領域で本来やるべきことに専念できたらいいと思っています。
「コラボフロー」は圧倒的な使いやすさを追求しています。とにかく簡単に使っていただける点はお客様にとても喜んでいただいています。また、名前にコラボとある通り、様々なシステムと連携させることができます。連携させながらも分かりやすさ、使いやすさにはこだわり、お客様にずっと使い続けていただけることを追い求めています。

また、「コラボフロー」を使っていただいてお客様のワークスタイルを変えていくだけでなく、私たちコラボスタイルが率先して、時代に適したワークスタイルを常にバージョンアップしていき発信することも重要視しています。「ワークスタイルの未来を切り拓く」という企業理念にはそんな想いが込められています。

東京にいる理由はあるか。名古屋で、ワークスタイルをつくっていく。

Q.2020年7月に本社を名古屋に移転されました。名古屋への移転を決めた理由はどんなところだったのでしょうか。

愛知県出身であり、本当は名古屋で起業したいという想いがありましたが、起業した2013年当時はITベンチャーが名古屋で成功できるイメージが持てなかったんです。お客様の数が東京の方が多いことや、東京に本社を構えている方が信用していただけるのではないかといった理由から、東京で起業しました。
一方で、これまでの繋がりや優秀な人材を活かすために、開発拠点は名古屋に置き、京都の舞鶴市でリモートワークをしている社員もいました。小さなベンチャー企業だからこそできることかもしれませんが、創業当初から多様なワークスタイルを取り入れることに積極的だったんです。

事業が軌道に乗ってくる中で、だんだん地元を盛り上げたいという想いが湧き出てきました。就職活動を見据えていた娘が「名古屋はダサいから嫌だ」と言ったことも影響していますね(笑)。起業当時は名古屋で成功できるイメージが持てなかったのですが、自分たちで名古屋のITの未来をつくっていけばいいじゃないかと思い立ち、2017年に「名古屋・中部をもっともっとカッコいい街にしよう、ビジネスを盛り上げよう!」をスローガンとして「八の会」※を発足しました。そんな中、具体的な時期は決まっていなかったものの、「2022年までに本社を名古屋に移転する」と公言していました。
2019年には、社内で業務改善プロジェクトを始めて、東京一極集中のリスク回避も考えるようになっていたところ、ちょうど名古屋市の助成制度「本社機能等立地促進補助金」を知り、それが移転を決断する後押しとなりました。

  • 名古屋・中部をもっともっとカッコいい街にしよう、ビジネスを盛り上げよう!を掛け声にしている地域コミュニティ。ITに従事する、もしくはITを活用している人たちが集まって活動している。
    https://hachinokai.qloba.com/

Q.とはいえ、本社移転は一大イベントかと思います。ご苦労などはなかったのでしょうか。

本社移転にあたり、一番こだわったのは名古屋駅周辺のランドマーク的施設に入居することです。社員たちのためにも、絶対に都落ち感を出さずに信頼や成長を感じてもらえる希望に満ちた移転にしたかったのですが、ベンチャーキャピタルや他社大手資本が入っていないベンチャー企業の弊社では、ランドマーク的施設を借りることはとても困難で、何度も審査時に門前払いを受けました。

移転先探しに長い期間をかけ、やっとJPタワー名古屋を借りる目途がついたのですが、物件の広さが名古屋市補助事業の面積要件を満たしませんでした。
そこで、名古屋を代表する地域それぞれに分散型オフィスを構えることとし、結果として、名古屋駅、柳橋、栄の3拠点となりました。ワンフロアで社員たちが集えることのメリットは当然あったのですが、この分散型オフィスはBCP対策の一端を担っています
私たちの事業は、24時間365日サービスを止めないことが非常に重要で、予測不可能な緊急事態に見舞われた際に、重要業務の被害を最小限に抑え企業運営を滞らせないためには、分散型オフィスは有効な手段です。また、近接した弊社の各オフィスを巡るオフィスツアーを行うことで名古屋の魅力を短時間で伝えることができるというメリットも得られました。

Q.本社移転をされてみて、社員のみなさんやそのご家族、お客様からどのような反応がありましたか?

実は、もともと社員たちは本社移転に肯定的だったんです。以前から、東京、名古屋、大阪、舞鶴と社員が離れていたこともあり、年に2度集結するのは真ん中の名古屋でした。ですので、名古屋に馴染みもありましたし、本社移転することは公言していたので、「本当に実現した!」と喜ぶ声も聞くことができました。

また、こだわっただけあって、JPタワー名古屋に本社を置いたことで会社の成長を見せることができたと感じています。複数の新聞社にも取材され大きく掲載いただくことができ、社員のご家族はもちろんのこと、お客様やパートナー企業にも安心や信頼感を持っていただけたかと思います。

分散型オフィスにした点も、社員たちに好評です。もともとリモートワークを許可しているので、自宅と複数のオフィスを組み合わせ、業務内容に合わせて働く場所を選び、非常に効率的に働けていますね。

伸びしろがある、名古屋のブランディング。

Q.御社が名古屋でビジネスをするメリットはどんなところだとお考えですか?

やはり、交通の便が良いことは大きなメリットです。日本全国を商圏としている弊社では、日本の中心で交通網が発達している名古屋に本社を置くことで、取引先等との交流がとてもスムーズになりました。東京⇔大阪だと躊躇してしまう出張も、東京⇔名古屋、大阪⇔名古屋だと気軽に行き来できます。

また、名古屋だからこその情報発信やブランディングができるのではないかと考えています。東京ではそもそも企業数が多く埋もれがちですが、名古屋であれば発信力次第で大きな効果が出せる。例えば、「新しいワークスタイルを実践している会社」と紹介された場合に、東京だったら目新しさも少ないですが、名古屋だったら意外性もありますよね。

Q.名古屋がもっとカッコいい街になるために、必要だと思われることはありますか。

「カッコいい」の定義を私自身はしたくないと思っているのですが、個性を持つ一人ひとりが豊かに生きるために、「はたらく」面でも時代に合ったワークスタイルを生み出せる、多彩な意見が飛び交う街になればいいなと思います。
一つ強くお伝えしたいのは、名古屋市役所さんに、政令指定都市ナンバーワンのデジタル市役所になっていただきたいですね!ワークスタイルにも切り込んでほしい。それは働く方々のモチベーションにも繋がると思います。
いきなり100点を目指すのは大変ですが、70点でもいいから取り組んでいっていただきたいです。年齢を含め様々な方に対応するための道は残しつつ、デジタル化を進めていっていただく。それが民間企業のお手本になり、地域全体を変えていくと信じています。

コラボレーションの力で、未来を切り拓く。

Q.これから名古屋で挑戦したいこと、目指すことをお聞かせください。

まず、ワークスタイル変革につながるワークフローシステム「コラボフロー」を日本で一番使われるクラウドワークフローにする。これは定量的な目標として、必ず達成していきます。

そして、私たちコラボスタイルが率先して、時代に適したワークスタイルを常にバージョンアップしていくこと、世の中に向けて発信を続けていくこと。名古屋からその取り組みを発信することで、名古屋市が日本を代表するワークスタイル先進地域となるようなきっかけを作りたい、それこそ日本のワークスタイルをより良くしていくきっかけとなるような存在になっていきたいですね。

最後に、「〇〇は必要なのか?しなければならないのか?」に真剣に向き合うことです。場所や時間といった様々な制約、謎の習慣に疑問を抱き、仕事に関わる無駄や犠牲をなくしていく、改善していくこと。例えば、現在始動準備中ですが、競合他社も含めた同業のみなさんを巻き込んで、業界を挙げて脱ハンコの流れに取り組もうとしています。
何事も、私一人の力でできることは小さなことですが、周囲の人と一緒に取り組むことで大きな効果を生むことができます。そうやってコラボレーションの力で、名古屋から日本社会を変えていきたいですね。