「道、なければ自分で作る」の精神で20年超。 名古屋からグローバルにビジネスを展開するIT企業

株式会社デジタライズ 代表取締役
柴田 幸彦氏

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ITを道具として活用する日がくると信じ、IT業界へ。

Q.御社の事業内容をお聞かせください

小さな独立系SIer/CIerとして、2001年の創業以来コツコツと地道に名古屋で営業・ソフトウェア開発を主軸に活動をしてきました。IT分野に関わるサービスとして、

  • 業務改善にあわせたシステム開発事業
  • クラウドストレージサービス「TRunQ」
  • 営業支援系顧客管理システム クラウドサービス「SCRuM」
  • クラウドサービス「Digitaloud」
  • スマホアプリ開発
  • システム保守・運用を含めたデータセンター事業

これらの事業を展開しています。20年を超える歩みの中で、お客様のニーズを先回りした提案を心がけIT分野における企業の課題解決をしてきました。

Q.名古屋で創業したきっかけは?

学生時代から「この先必ずコンピューターを道具として使う時代が来る」と感じていて、新卒でIT系の企業に就職しました。ところが文系専攻だった私はプログラミングもできない状態。理系の同期たちが即戦力として様々な部署に配属されるなか、私はひとり会社に残って独学を続けました。当時は「いかに生き残っていくか」という焦りがあったんだと思います。1年間コツコツと積み上げていき理系の同期と遜色ない技術レベルに追いついてからは、文系のコミュニケーション力を発揮して営業成績も上向きに。2年目になると「お客様がより本業に専念できるようにシステムで出来ることは自動化させ、業務効率の改善を進めていきたい」という思いが強くなる一方で、営業マンが会社帰りの飲み会などで憂さ晴らしをする風潮に疑問を感じ(当時はそれが一般的なサラリーマンのスタイルだったのですが)、そこに時間を使うくらいだったら自分で何かをやるために時間を使った方がいい、と発想を切り替えて起業を考え始めました。

そして2年目の3月1日、株式会社デジタライズを創業。社名の由来は「デジタライズ…デジタル+~化する。(ライズ)」という造語です。「関わった人々と幸せを共有できるように、しっかりと追求し、成長し続ける企業を目指したい」という想いで、当時まだIT企業が少なかった名古屋でスタートを切りました。

  • (株)デジタライズの主力商品のひとつである、クラウドストレージサービス「TRunQ(トランク)」。
    データ格納のためのスペースをインターネット上で提供している。データセンターは震災発生の確率が低い北海道の旭川に設置。

ものづくり王国の中心地で、コツコツと信頼を積み重ねて。

Q. 名古屋の魅力はどんなところだと思いますか?

名古屋は「愛知ものづくり王国」のど真ん中だと感じています。自動車、航空機を中心とする様々な製造業の裾野が広がっており、単に商品を仕入れて売るのではなく、一から商品を企画して製造、販売まで一貫して行う風土がこの地域にあります。また特有の「モーニング文化」のように、単にコーヒーを提供するのではなく、ひと手間加えたサービスを付加してお客様に喜んでいただくサービス精神。リピーターをつかむ得意技を持っているのもこの地域の魅力だと感じています。商売においてもその精神が随所に生きていると思います。

この地域で生まれたデジタライズは、ITという比較的新しい産業の中で、無いものは一から作るという精神の基、お客様に喜ばれるソフトウェアづくり+かゆいところに手が届くよう‘お得感’を感じていただけるようなサービスを心がけてきました。お客様を想うがゆえに、打ち合わせにおいても時に譲れない『コダワリ』を提案することがあります。真摯にお客様と対話を深め、理解いただいたうえで良いものを提供するということは、長い目でみれば信頼の蓄積となります。永きにわたり弊社と共に歩んでいただけるお客様が多いのも、この地域ならではなのかもしれません。

Q.名古屋での商売は「コストに厳しい」と言われがちですが。

確かによく耳にするフレーズですが、私はコストに「的確」だと感じています。これは私の感覚ですが、長くお付き合いしているお客様においては、実際にかかる材料費や人件費まで「値下げして」という意図は全くない。価値あるものに必要な予算を配分する分、無駄と思われるところは厳しく指摘をするため、ここだけ切り取って「ケチだ」という言葉がひとり歩きしてしまうんじゃないかと思います。「改善」できる箇所はないかと常に考えることをサボらず、一緒になって「脳みそに汗をかく」。お互いが努力をして、適正価格できちんと永続的に商売ができるよう努力をしている証だと思っています。

地域に根付き、共存共栄をめざす

Q. 北海道・東京へと進出した際に困ったことや、その解決策などについてお聞かせください。

弊社は北海道の旭川市にデータセンターがあるのですが、私が旭川に進出する際には、地元業界団体の組合に入りそこで理事をやらせてもらい、旭川に貢献する活動から始めました。それが他地域へ進出したときはうまくできず「よそ者がきて仕事を持っていっちゃうんでしょ」というようなことを言われました。地元企業と新たに進出してくる企業とのぶつかり合いはどこの地域でも必ずあると思います。でも他地域から進出してくる企業が初めから「地元企業と組みたい」という姿勢で臨めば、地元企業側にも「新しい風を取り入れたい」という気持ちが芽生えると思うんですよ。

また東京進出の際は名古屋市からの助成金制度で背中を後押ししていただきました。とてもいい制度だと思いますので、ぜひ活用されることを私はおすすめしたいです。私の場合は、進出すべきか迷っていた時期に「勝負してみよう」と挑戦へのハードルを下げていただきました。まず挑戦してみて、その後地元への恩返しを考えればいい、という心持ちで前へ進むことができました。

Q.名古屋へこれから進出する企業へのアドバイスはありますか?

ひとことで言うなら「地域に根付く」という心構えでしょうか。進出する上で、一番のポイントは、どうやって根を張るかだと常々考えています。種を撒くことはどの地域に行っても手始めにできると思いますが、進出した先で、末永くビジネスを行うには、地元企業との共存共栄を念頭に考えていくべきです。これは名古屋でビジネスをしていてよく感じるのですが、進出してくる企業が、既に名古屋でビジネスをしている企業の仕事を奪うような形で入ってくる場合は、結果として不毛な戦いとなり、早晩、撤退を余儀なくされるということを見てきました。進出先の困りごとにキチンと耳を傾けて、それが自社の進出方針と合致するようであれば、着実に成功に近づくと考えています。

景気がいいから進出するというのも一つの経営判断かもしれませんが、景気が悪いときにこそ、地元企業と手を取りあって乗り切れる状態が作れるかどうかで大きく変わってくると思います。馴れ合いで仕事をすることに抵抗があるかもしれませんが、進出するということは、縁をつくること。その土地のつながりに入り込んでいくことが永くビジネスをするうえで、必要だと考えています。

時流をつかみ、変化に対応しながら進んでいく

Q. 名古屋発、デジタライズのこれからの挑戦は?

現在のオフィスは住宅街の一角にあり、元は外国人向けの民家だった築20年の物件です。1年前にここへ移転し、テレワークを含めた働き方についても工夫を凝らしてきました。このように新型コロナをひとつのきっかけとして急速にVUCA時代へ突入していく中で、どう風を読み、変化に対応していくか、ワクワクしながら考えを巡らせています。先を見るのは面白いですし、自分に責任を持って選択していくことですから。また、お客様や仕事仲間も世界各地に広がり、ネットワーク(通信網・人とのつながり)があれば不自由なく仕事を進めることができるようになりました。そこで改めてここ名古屋という地の利を生かし、首都一極集中でビジネスを展開していくのではなく、名古屋から世界へサービス展開できるのだということを胸に、これからも挑戦を続けていきたいです。