画期的な電源機器でコスト削減・CO2削減・省スペースを実現

プルス株式会社
代表取締役社長
森川 博氏

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技術の価値を理解してもらえると信じて日本に進出。

Q.まずは事業内容を教えてください

工場に送電されてくる交流電源を直流に変換するコンバータなど、電源機器の開発・販売を行っています。例えば交流で100Wが入ってくるとして、他社なら85Wの電力が得られるところが、当社の製品なら95W以上得られます。効率が悪いとたくさんのエネルギーを注入しないといけないので、当社の電源を採用することでランニングコストが抑えられます。

電力として得られなかった分は熱放出なんですね。熱が出るということはCO2が発生します。こういう機器が世界中に何千万台と据え付けられているので、ぜんぶ足すと地球環境にものすごく影響を及ぼします。パリ協定の目標達成のためにも、一つ一つ積み上げていく必要があります。

工場に大きなコンバータが据わっていたら邪魔なので、なるべく小さくしたいわけです。当社製品は機器がコンパクトです。熱放出が少なく機器ごとの間隙も小さくて済むので、より省スペースになります。

本社の現社長には「その分野で10年はトップを維持できる製品を世に出す」という信念があります。そこまで到達して初めて販売されるので、商品技術には自信を持っています。

Q.日本に進出することになった経緯を教えてください

私は1996年から2012年までスイス系企業の日本法人社長を務めて、業績が軌道に乗ったところで後進にバトンタッチしました。その後、ヨーロッパと日本の橋渡しをする会社を設立したんですが、そこでプルス社の社長と会う機会があったんです。日本市場について聞かれたので、「日本は技術先進国。プルス社の技術や製品の価値を、評価してもらえるだろう」という判断はありました。一方で、日本は事細かいことを言うからドイツ企業に合わないかもしれないとも思ったため「本社サイドが対応できる体制にしないと難しいですよ」と進言しました。社長は前向きで、「本社内の機構をそのように変える」ということで、日本進出が決まりました。そして、私が日本法人の社長を任されたのです。

名古屋に根を張るための鍵は信頼される技術者の育成。

Q.日本の中で、なぜ名古屋を選んだのでしょうか

当社のドイツ本社で名古屋に拠点を置くことについて問われた際には「日本には、関東はエレクトロニクス、関西はバイオ・生命科学、中部は自動車と航空機など製造業という位置付けがある」と説明しました。「名古屋は製造業がひしめき合う産業構造で、当社にとってベストマッチである。今後、アジアに事業を展開するための軸としても魅力的な場所である」と。

製造業が密集してるということは技術レベルが高いってことなんですよね。どこの国を見ても、何かの産業が密集している地域では、技術力がものすごく高いです。どういう作用が働くかわかりませんが、必ずそうなってます。そのあたりのメカニズムは経済学者に研究してもらえばいいですね(笑)。

Q.実際に名古屋へ来て、手応えはいかがでしょう

製造業が密集しているので、効率よくメーカーにアクセスできています。当社製品の価値を評価してもらえているという実感もあります。製品の説明を10社にしたとすれば、7社くらいはよい反応。試作品を使ってみようという話も出ています。まじめに話を聞いてくれたら、すぐに商売につながらなくても記憶に残りますからね。1〜2年後に芽が出るんじゃないでしょうか。

Q.海外企業の製品に対する不安感を、どう払拭してきましたか

不信感・不安感はどんなに言葉を紡いでもなかなか払拭できないですよね。口で説明はしますが、人間の心理はそんな簡単じゃない。根底に何かが残ります。実際に製品を使って実感してもらったり、何かあったときの対応だったり、積み重ねが大事だと思っています。そういう対応ができるスタッフを育てていくことが、日本進出成功のポイントだと思っています。

新しい国に進出し成果を上げるということは、気の長い話なんです。例えば「2年以内に黒字にせよ」と言われるなら、私は請け負えないです。商売はそんなもんじゃないですからね。「やれる」っていう人がいるなら、その人がやればいい。

もちろん見通しは立てます。「この製品で、この技術で、日本のマーケットで、3〜4年くらいで黒字になるでしょう。そこまで辛抱できますか」と。「本社にそれだけの余力はある。将来へ向けての投資だ」と判断したのが当社です。

技術者同士の相互理解を何よりも大切に。

Q.日本進出にあたって名古屋市のサポートはいかがでしたか

名古屋市の外資系企業等進出促進補助金を活用しました。補助金を手続きすることで、行政とつながりが持てますから、そこも大切にしたいところです。海外から来た企業にとっては、公的な関わりを持つことで、「存在を認めてもらえた」と感じられることも大きいですね。

Q.大規模展示会の名古屋市ブースへの共同出展はどうでしたか

市の方から急に「ある大規模展示会の名古屋市ブースで共同出展しないか」と連絡がきて驚いたのですが、このエリアに進出したばかりの企業としてはありがたいお話でした。これも補助金を活用したことによってつながりを持てた効果ですね。メーカーの技術者が多く来場する展示会というのも嬉しいところで、実務者と交流を持てたことは大変有意義でした。雰囲気を作るためにトップとの関係も欠かせませんが、それよりも実務者にきちんと理解してもらえることが重要だと思っています。

Q.名古屋の人材についてどう思いますか

日本全体で言えることですが、人材の流動性が低いんじゃないでしょうか。ドイツやスイスも流動性は高くないですが、一定のビジネス経験やスキルを持つ人材の市場は確立されています。日本では、語学力のある技術者や、新しい分野に挑戦する意欲のある技術者の確保はなかなか困難でした。優秀な人が行ったり来たりする流動性がない。給料もしっかりお支払いすることでなんとか探しました。

グランドデザインを示せば名古屋市に企業も集まってきます!

Q.今後、外資系企業が進出するにあたって名古屋市はどうあるべきだと思いますか

外資系企業にとって日本と言えば、まずは東京を想像すると思うので、名古屋は「こういうエリアである」というグランドデザインを行政が示すことで、その旗印に向かって企業が集まってくるものだと思います。幸い中部圏には製造業が密集しています。卓越した技術を有する国内外の企業が集結し、企業間で切磋琢磨することで技術力はさらに高まってきます。そこをうまくグランドデザインに組み込めばいいと思います。

 カリフォルニアバレー、シリコンバレーの歴史はたかが50,60年。一世代で街を作ってるんです。グランドデザインを描いてそれに呼応する企業が集まれば、あっという間に地域は隆盛すると思います。