交通の利便性だけではない、モノづくり産業の集積地名古屋の魅力。

SGM Magnetics S.p.A
日本支社代表
内田 淳氏

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リサイクル需要の高まりと自社製品の強み

Q.御社の事業内容についてお聞かせください。

弊社の事業の柱は2本あります。

まず一つ目は、マグネットリフティングと呼ばれる、主に鉄鋼産業で鉄を持ち上げるために使う磁石を取り扱っています。港湾での荷揚げや、倉庫、自動車製造でも使われている、大きな鉄を持ち上げる巨大な磁石ですね。

二つ目は、資源のリサイクル。SGMの設備で産業廃棄物(雑品スクラップ)から鉄と非鉄を選別し取り除き、リサイクルできる部分と出来ない部分に分けることで、結果、埋め立て処分するごみを減らすことにつながっています。

Q.リサイクルの過程について、もう少しお伺いできますか?

実は、日本はもともと産業廃棄物(雑品スクラップ)を中国に輸出していました。ところが、中国国内の環境規制やバーゼル法の改正により、年間500万トンの産業廃棄物(雑品スクラップ)を日本国内で処理をする必要が生じてきたのです。そのため、日本国内での資源リサイクルのニーズが増えることは明らかでした。

SGMの技術と設備を使えば、再利用できる資源とそうでないものを細かく選別することができ、再利用可能な資源の質をあげることが可能であり、このリサイクルの技術が弊社の強みです。

日本支社を作ることで、よりスピーディーに、かつメンテナンスサポートも含めて対応可能に

Q.日本進出の背景には、リサイクル需要の高まりが大きかったのでしょうか?

日本への進出は2、3年前から検討していました。もちろん、リサイクル需要の高まりはその理由の一つです。

さらには、弊社のもう一つの事業の柱、マグネットリフティングにおいても、日本市場で戦える自信がありました。もともと日本のお客様との取引実績はありましたが、イタリアからの部品輸入に2か月から3か月かかってしまうのがネックでした。これを、日本支社を作ることで、よりスピーディーに、かつメンテナンスサポートも含めて対応できると考えたのです。

Q.日本進出の中でも、名古屋に拠点を置かれた理由を教えてください。

まずは、交通の利便性ですね。東西両方に行けます。また、荷揚げ港として名古屋港の利便性も魅力でした。

加えて、モノづくり産業の集積地であるため、メンテナンス用の部品が調達しやすいことや、技術者が多いことにも注目しました。将来、会社の規模が大きくなった際も、エンジニアを集めやすいですからね。

イタリア本社は名古屋を知りませんでしたが、名古屋は東京と大阪の両面をカバーできる都市であることを紹介し、説得しました。

実は、最初は名古屋市役所に飛び込みでお話を伺いに行ったんです

Q.もともと、内田さんご自身は名古屋とのつながりはあったのですか?

1995年から2006年まで名古屋の鉄鋼商社で働いていました。その後は中国で鉄鋼関係の仕事を続けていました。ですので名古屋についてはよく知っています。ビジネス面以外の魅力として、名古屋は物価も高くなく、生活がしやすいイメージを持っています。夜の街はやや静かな印象ですが、裏を返せば昼間に職人が真面目に仕事をしているということですね。

Q.日本進出の際、名古屋市等からのサポートはどうでしたか?

グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会によるオフィス開設時の補助金や、名古屋市の外資系企業等進出促進補助金による家賃サポートは大変助かりました。実は、最初は名古屋市役所に飛び込みでお話を伺いに行ったんです。飛び込みではありましたが、名古屋市のビジネス進出支援について担当の方が丁寧に教えてくれました。

※グレーター・ナゴヤ・イニシアティブ協議会(GNIC)/グレーター・ナゴヤ(名古屋を中心に半径100kmに広がる経済圏)への進出や事業拡大を希望している海外企業に対し、円滑にこの地域でビジネス展開ができるようワンストップでサポートしている組織。愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市に外資系企業等が進出する際に立ち上げを支援している。

名古屋を拠点として日本の東西にいる顧客へアプローチ

Q.内田さんは名古屋市等が主催する外資系企業ネットワーク懇談会にも参加されていますよね。どのような雰囲気でしたか?

ネットワーク懇談会では直接登壇する機会もありました。まだ、直接的なビジネスには結びついておりませんが、名古屋でビジネスをする外資系企業とつながりが生まれ、有意義でした。

※外資系企業ネットワーク懇談会/外国・外資系企業の県内進出・定着を地域一体となって支援することを目的に愛知県、名古屋市等が設立した「INVEST IN AICHI-NAGOYA CONSORTIUM」が外資系企業等と県内企業のネットワーク構築を目的として開催する懇談会。

Q.最後に、今後のビジョンについて教えてください。

現在は日本支社という位置づけです。日本の中心である名古屋を拠点として日本の東西にいる顧客へアプローチし営業実績を上げて日本法人化を実現したいですね。