NAGOYA発の製造業DXナレッジを世界へ――熱量と貢献度高く、顧客と地域に寄り添う伴走者でありたい。

アクセンチュア株式会社
マネジング・ディレクター テクノロジー コンサルティング本部
アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋 センター長
松濤 真人氏

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生まれ育った街から、ビジネス進出拠点としての挑戦の地へ

Q.まずは松濤センター長様とアクセンチュア株式会社についてお聞かせください。

私は生まれも育ちも名古屋です。大学進学を機に東京に移り、新卒でアクセンチュア株式会社へ入社しました。それから20年以上、銀行や証券会社のシステム開発やアプリケーション・アウトソーシングに携わり、現在はマネジング・ディレクターとして、テクノロジーコンサルティング本部で金融業界全般を統括しています。一方で私個人の人生のプランとして将来的には家業を継ぐことを想定し、生活の拠点を少しずつ中部エリアに移していければと考えていたところで、新たな地方拠点として名古屋市にアドバンスト・テクノロジーセンターを立ち上げるタイミングが重なり、拠点長のポジションに手を挙げました。

アクセンチュア株式会社は、世界49カ国でビジネスを展開するグローバルな総合コンサルティング企業です。日本では事業を開始してから60年以上、地域に根差した活動を行っています。「コンサルティング」と聞くと、企業の現状を分析して経営戦略をアドバイスするものとイメージされる方も多いかと思いますが、当社はビジネスとテクノロジー、特にデジタル技術を軸とし、クライアント企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)支援をコンサルティングから実際のシステム開発・運用、最適な顧客体験の創造に至るまで一貫して手掛けられるところに強みがあります。

Q.このたびの名古屋進出の経緯やアドバンスト・テクノロジーセンター名古屋について聞かせてください。

これまで当社は国内では首都圏と関西圏に事業の拠点を構えて全国のお客様にサービスを提供してきましたが、2011年の東日本大震災の復興支援を契機に、地方創生に基づくそれぞれの地域文脈に沿う形で地方拠点を拡充してきました。名古屋へのビジネス進出は過去に何度か試みた経緯がありましたが、今回のセンター開設はトランコムITS株式会社(名古屋市)から一部の事業を譲り受けたことが大きな契機となっています。中部エリアのビジネス課題や地域性をふまえて、「製造業」「モバイル」「アプリケーションモダナイゼーション(AMO)」のスキルを備えるエンジニア提供拠点を構築する――そういう未来を見据えてアクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋の開設に至りました。

地域貢献の中で関係づくりをしながら、日本の製造業の未来を創出したい

Q.名古屋ではこれからどのような展開をイメージされていますか?

先日の開所式にも来ていただいた中部電力グループ様との協業をはじめ、今後は地域への貢献度や当社への信頼を高めながら、中部エリアに拠点を置く大小さまざまな製造業を営む企業に寄り添い、その課題解決に伴走していきたいですね。

中部エリアは自動車産業を中心に規模も技術も多様な製造業が集まって階層的な構造をなしており、この地域全体が1つの大きな工場であるともいえます。この大きな工場全体でIoTを活用しサプライチェーンにも連携して製造業DXのスケールを拡充できれば、日本国内はもちろん、世界各地へもそのナレッジを発信・展開していけると考えています。

当社は昨今、中小企業のDX支援にも積極的に取り組んでいます。特に名古屋という地域では、日本を代表する自動車関連企業の存在感が大きく見えますが、実はその地盤を固めるのが、そこに連なる数多くの中小零細企業で磨かれた技術力。組織内の人材不足も含めて未だ進みづらい状況にある製造業界全体のDX推進を多角的に支援していく中で、中部エリアだけでなく日本全体の製造業の未来図も描けていくと信じています。

Q.そこへ向けた人材採用についてもぜひ聞かせてください。

「ITやデジタル技術に関わる仕事をして名古屋で働きたい」と考える時、「アクセンチュア」とすぐ意識に上る存在になりたいと思います。理系卒の人材にとって魅力的な製造業が集積するこの地域だからか、就職先としてのIT業界全般の認知度が低めで、結果的に大手企業が本社を置く首都圏や関西圏へIT人材が流出する傾向があるのではと認識しています。

また今は「アクセンチュア」と聞くと、「外資系企業」や「コンサルティング企業」のイメージで「世界中のとある拠点の、大多数の中の一社員」という印象が先立ち、「名古屋で働きたい人」のための選択肢としては敬遠されているかもしれません。

そのため今後は「地域への貢献度も高いシステム開発企業」としての知名度を上げていけるよう、ビジネスでの実績と信頼を積み重ねながら、広報活動にも注力していきます。私たちの事業と価値を中部エリアでも広く多くの方に知っていただき、取引先としても就職先としても、センターのドアをノックしやすい企業になっていきたいですね。

Q.松濤様から見てどんな人が仕事や組織に合うと思われますか?

コンサルティングからシステム開発に至るまでのトータルプロセスを通じて、顧客が実現したい未来に向かって伴走するため、何よりもまず現状をよく観察し、自ら仮説を立て検証することを繰り返してプロジェクトを前に進めていく姿勢が求められます。誰かからの指示を待って動くというよりも、自分自身で課題を見つけ、計画と実行によって解決策を探っていく。そのプロセス全体に仕事の面白さややりがいを感じ、熱量をもって関われる人が合っているのではないでしょうか。

私は文系出身ですが、理系であれば研究室等で仮説検証のプロセスに日常的に取り組んできた経験も1つの強みになると思います。また、中途採用であっても同様に、自ら問いを持ち、仕事を通して顧客や地域のために何ができるかを追究したいというIT人材やエンジニアの方々と手を携え、センターを大きくしていきたいと思っています。

現在、名古屋拠点では、1ヶ月に数名のペースで異動や入社により新しいメンバーが加わっています。そのため毎月オフィス内でメンバー同士がカジュアルに交流を深められる機会を設けるなど、多彩な従業員一人ひとりが安心して集え、活躍できる拠点づくりを目指しています。

自治体のサポートも礎にしながら、企業や学校と地域のつながりを広げていく

Q.拠点開設にあたり、名古屋市ICT企業等集積促進補助金を活用されたそうですが、名古屋への進出に伴う自治体からのサポートについても聞かせてください。

センター開所式には副市長にもお越しいただき感謝すると共に、今後も自治体とのコラボレーションをより強化していけたらと思っています。今回の補助金申請プロセスの中では、自治体から見た名古屋についての現状認識など貴重な知見も得ることができ、多面的なサポートを頂いていると感じます。

未だ新参者の私たちですが、今後は名古屋市内や中部エリアの企業同士のつながりや連携を図っていきたいと考えており、例えば自治体主催の懇親会やイベントの開催等、必要な情報をタイミング良くキャッチできるといいなと思います。

Q.ビジネスや仕事以外で感じられる名古屋の魅力や印象もお聞きしたいです。

長く東京でも暮らしてきましたが、名古屋は生活費も高過ぎず、物は揃っていて人の数は多過ぎないので、生活する上でとてもバランスの良い地域であると感じます。近くには海も山もあって、休日などに自然に触れられる機会や場所も多い印象です。

また今回の拠点進出にあたり、名古屋にはまだ何も縁やゆかりがなかったメンバーが続々と転居して来てくれています。鉄道や高速道路のアクセスも良く、海外からも観光客が訪れるレジャースポットもオープンするなど、初めて名古屋の地を踏む人にも十分に魅力ある街だと感じられているようです。今後もさらに多くの人たちにその魅力を伝えていけると良いなと思います。

Q.これから挑戦したいことや目標について、ぜひお聞かせください。

アクセンチュア・アドバンスト・テクノロジーセンター名古屋では、今後3年間で、数百名規模にまで拠点規模を拡大したいと考えています。中部エリアにある大小さまざまな製造系企業への複合的なデジタルソリューションの提供、DX推進によるモノづくり環境の整備や、長年にわたり研ぎ澄まされてきた技術力の継承等、中部エリアの製造業DXや地方創生への貢献を通して得られるナレッジを国内や世界に向けても発信したい――そんな志を胸にエンジニアやIT人材が集まってくる場にしていきたいです。またエンジニアやIT人材の不足が問題視される中、ゆくゆくはこの地でつながりのできた企業や教育機関等とも協力し、中部エリアで働くデジタル人材の育成にも力を入れていければと考えています。

Q.最後に、今後名古屋進出を考えている企業に向けてアドバイスやエールをお願いします。

幾度の挫折も経ながら、このたび念願だった名古屋進出を果たすことができました。名古屋への進出に興味はあるものの、今一歩踏み出す勇気が出ないという企業の方がいらっしゃるなら、ぜひ私たちのところへ話を聞きに来ていただければうれしく思います。