協働ロボットの日本国内シェア1位を目指す
JAKA Robotics Japan 株式会社
事業部長
王 彦淇氏
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生産現場で高まる協働ロボットのニーズ
Q. まず、JAKA Robotics社の事業内容と王さんのお立場について教えてください。
社名のJAKAはjust always keep amazingの略で、2014年に設立された協働ロボットのメーカーです。
本社は中国の上海にあり、生産拠点は上海から車で3時間ほどの距離にある江蘇省の常州にあります。資本金は6,500万元、社員数は約500人で、中国の他、ドイツ、日本、マレーシアに支社があります。
私は2019年にJAKA Robotics社にエンジニアとして入社しました。いまは日本法人の責任者として、営業、技術サポート、アフターサービスなどを統括しています。
Q. 協働ロボットとはどのようなものでしょうか?
工場でこれまで使われていたのは大型の産業用ロボットですが、より軽量・小型で人間と同じスペースでの作業を想定して作られたのが協働ロボットです。人と接触すると自動停止するなど、安全性により配慮して設計されています。自動車を作るような大工場だけでなく、電子部品や食品、薬品など、様々な工場で使われるようになっています。
日本の工場で使われているロボットの大部分は産業用ロボットだったのですが、2019年以降、コロナ対策や、少子化や高齢化といった人手不足への対策として、工場の自動化の動きが進み、協働ロボットのニーズも高まっています。
名古屋の魅力は交通アクセスの良さとサプライチェーン
Q. 名古屋に日本法人を設置した狙いについて教えてください。
日本法人設立が決まったのは2020年です。それ以前も代理店を通じて日本市場での販売を行っていましたが、顧客向けのアフターサービスをより充実させるため、日本法人を設立することになりました。
名古屋を拠点に選んだ理由は、主要な取引先である自動車産業の集積地であり、また、将来的に工場建設をするにあたって、サプライチェーンが充実していたからです。東京と大阪の間にあるという立地の良さも魅力ですね。
Q. 名古屋での生活はどうですか?
法人設立準備のため、2022年の8月から名古屋での生活をスタートしましたが、とても気に入っています。地下鉄が整備されていて、どこに行くのも便利です。
最初、少し戸惑ったのはランチでした。中国でのランチはデリバリーが一般的で、携帯電話だけで何でも届けてくれます。日本では同じようにはいかないので、外に食べに行くようにしています。最近は日本食にも慣れてきましたし、会社のある新栄周辺の中華料理店に行くこともあります。
肌感覚で感じた日本と中国とのマーケットの違い
Q. 日本でビジネスを進める上で困ったことや中国との違いを感じることはありますか?
製品を購入するにあたり、中国のお客さんがまず気にするのは製品の値段です。これに対し、日本のお客さんは製品の性能やアフターサービスをまず確認し、値段の話はその後です。中国人に比べるととても慎重で、導入決定までに時間がかかります。導入するまでに様々なテストがなされ、工場にふさわしい製品なのかチェックされます。
こうした難しさから、日本市場をあきらめる企業も多いのですが、一度、製品を導入すると、長く使ってもらえるという面もあり、また、グローバルにビジネスを展開していくにあたって、慎重な日本市場から製品を認められる、ということの意味は大きいです。
日本市場はアフターサービスがとくに重視されているので、顧客からの依頼があった場合にはすぐに駆けつけられる体制を確保し、信頼を得られるように努力しています。
Q. 日本法人設立にあたっては行政からどのようなサポートを受けましたか?
日本で法人を設立するために何をすれば良いのか、最初は何も分かりませんでした。そのため、JETROに相談し、色々な形でサポートをいただきました。税理士や司法書士、社労士なども紹介してもらいました。日本では、法人設立にあたって作らなければいけない書類が多く、手続きや審査も多いので、こうしたサポートはとても助かりました。
Q. 今後、ビジネスを展開していくにあたって行政に求めたいサポートはありますか?
当社は中国では知名度があるものの、日本ではベンチャー企業であり、知名度は低いです。そのため、募集をかけてもなかなか思うように採用ができません。ですので、学生とのマッチングの機会を増やすようなサポートをお願いしたいです。
また、今後、工場建設などの設備投資を進めるにあたって、どのような補助金や免税制度が利用できるのか、まだまだ分からないことが多いため、情報をいただけるとありがたいですね。
Q. 最後に、今後のビジネスの展望についてお聞かせください。
進歩のスピードが早い業界なので、中長期的な展望までは描けていませんが、日本法人としては、今後3年以内に日本での協働ロボットのシェア数1位を目指しています。今後建設する工場についても、オートメーション化が進んでいるので、あまり多くの人は必要ないのですが、それでも将来的には50名程度の規模にしていく予定です。