窯業そして自動車産業の集積地である名古屋は当社の日本支社として最適なロケーションにあります。
トレシッド・ジャパン
ゼネラルマネージャー
岡田 隆正氏
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- 窯業そして自動車産業の集積地である名古屋は当社の日本支社として最適なロケーションにあります。
Q.御社の事業内容をお聞かせください。
スペインに本社を置くトレシッドは、1963年にセラミックタイル用釉薬の製造を始め、以来、世界初のタイル用インクジェット技術などのイノベーション開発を通してグローバル多国籍グループとして成長してきました。セラミック分野のソリューションから始まった当社ですが、現在はガラスやプラスチック、塗料の分野にも進出し、事業の多角化を図るとともに、新たなイノベーションやトレンドを提供しています。当社の特長はデザイン・ファッション性へのこだわりの強さにあります。日本はもちろんヨーロッパのメーカーでも当社ほどデザイン性にこだわる企業はありません。そのため製品提案の場では、当社の優れた製品によって、新しい空間デザイン、ライフスタイル、未来のトレンドが実現できることをアピールしています。現在は、世界29カ国に営業・生産拠点を展開しています。
Q.日本支社の設立経緯をお聞かせください。
トレシッド・ジャパンはトレシッドの日本支社として2015年に設立されました。日本支社はトレシッドグループの日本におけるサービス・販売拠点であり、セラミック・ガラス・プラスチック・塗料メーカーといったお客さまの製品開発をサポートしていきたいと考えています。弊社ビジネスの柱である倫理・イノベーション・最高品質・サービス・マーケティング・ステークホルダーのケアを通して付加価値を提供し続けることで、日本国内の販路を広げていくことを目指しています。
Q.日本支社を名古屋に設置した理由をお聞かせください。
まずは、多治見、瀬戸、常滑といった日本に古くからある窯業の産地を擁しているというロケーションです。名古屋は日本における窯業の一大産地の一つであり、そこから焼成技術を生かしたさまざまな企業が設立されてきました。焼き物は窯が違うと製品が違うといわれるほど、生産現場が重視されています。そのため、生産現場の近くで営業活動を行うことには大きなメリットがあると考えられます。また、国内におけるビジネスの中心地である東京・大阪へのアクセスの良さも魅力です。現在建設が進むリニア新幹線が開通すると名古屋のロケーションやアクセスの良さはさらに高まるものと考えています。
支社の立ち上げ時には、海外企業とのことで事務所の契約や言語的なコミュニケーションで苦労があったと聞いていますが、名古屋市さんからは事務所設立にあたって事務所賃料の一部を補助していただいたほか、異業種交流展示会であるメッセナゴヤへの共同出展をはじめとした販路開拓の支援をしていただくなど、細やかなサポートに感謝をしています。
Q.雇用の面での名古屋の特徴についてお聞かせください。
当社は外資系企業では珍しく、新卒、第二新卒の雇用に積極的に取り組んでいます。これは「経験がなくとも、若い可能性を信じてそれに投資する」という社風によるものです。こうした社風と、大卒者の就職時における地元志向が強いという地域性は親和性があり、人材確保と長期的な人材育成の面でも、名古屋への立地はメリットがあると感じています。
Q.岡田さんご自身の経歴をお聞かせください。
私は名古屋市内の大学を卒業後、東京のベンチャー企業で2年ほど働き、2016年にトレシッド・ジャパンに初の日本人営業として入社しました。入社後は国内のセラミック分野の責任者として、国内市場の拡大に取り組んできました。ゼネラルマネージャーには2018年に就任しました。
Q.岡田さん自身の考えるトレシッドの企業としての魅力とは。
私自身は、採用面談の際に聞いた「プロフェッショナルとしても、パーソナルな意味でも成長をできる会社」という社員教育の方針に強く惹かれました。また当社はヨーロッパの会社では珍しい同族経営の企業であり、日本企業に通じるものを感じます。
Q.トレシッド・ジャパンが設立されて来年で10年になります。これまでの成果にはどんなものがありますか。
当社の強みを生かして、国内タイル・陶磁器・ガラスの装飾のインクジェット化のサポートをさせていただいてまいりました。またプラスチックの分野では、不可能とされていた黒色プラスチックの近赤外線をもちいたリサイクルを可能にする着色剤を開発し、国内大手家電メーカー様にご評価いただきました。
(参考:令和3年度脱炭素社会を支えるプラスチック等資源循環システム構築実証事業(バイオ由来素材を複合した再生樹脂の適用技術実証)P80以降)
Q.今後の日本支社の目標をお聞かせください。
日本に進出してきた理由は、タイル・陶磁器での基盤を生かしつつ、ガラスやプラスチック、塗料、ファインセラミックスといった分野での成長を見込んでのことでした。ガラス、プラスチック、塗料、ファインセラミックスが使用されている工業製品と言えば自動車です。すでに欧州の自動車産業では実績もある当社ですが、自動車産業への参入は、日本支社だけでなくグループ全体を巻き込んでいく大きな挑戦ととらえております。名古屋周辺は世界でも有数の自動車産業の集積地となるので、日本だけではなくアジアの戦略的支社として、成功につなげていきたいと考えています。